
Blogブログ
弊社が記録した“福祉×アート”の現場 富士山ドリームプロジェクト
2025年11月11日
-
静岡を舞台に、福祉施設の利用者さんとともに自由な表現を育む「富士山ドリームプロジェクト」。映像を通じて人の“動き”や“場”を捉える私たち「東風」は、このプロジェクトに参加し、多様な声と感性が交錯する現場をカメラに収めました。ここでは、福祉×アートという枠を越えて“共に創る”時間の一端を、映像制作者の視点でご紹介します。

-
目次
1. 出会いの瞬間と記録の意義
・1-1 弊社がこのプロジェクトに寄せた想い
・1-2 映像という手段で残したかったもの2. “脱ふつう、予定調和”を体現するアートワーク
・2-1 利用者さんと職員が創る〈自由な作品〉
・2-2 日常を離れた“表現の場”としての価値3. 現場を撮って感じた“共創”の化学反応
・3-1 支援する側・される側を越えて生まれる関係性
・3-2 カメラを向ける側にも変化を促す場4. 映像制作から見えた福祉×アートの可能性
・4-1 足跡として残るプロセス映像の力
・4-2 地域・企業にも波及する“表現”の拡がり5. これからの展望と弊社の役割
・5-1 “誰もが表現者”になれる社会へ向けて
・5-2 映像で描く、福祉とアートの未来 -
1. 出会いの瞬間と記録の意義
1-1 弊社がこのプロジェクトに寄せた想い
私たち東風は、日常の映像制作の中で「誰かの一瞬」を捉え、また「風向きを変えるような」「新しい視点」を届けたいという理念を掲げています。今回、福祉とアートが交わるこの場に関わることで、映像が持つ“見えなかった声を可視化する力”を改めて感じました。
プロジェクトのはじまり――参加者同士の挨拶、画材に触れた瞬間、講師の導き、作品が生まれる過程――こうしたシーンを丁寧に撮ることで、「福祉現場×アート」がただの支援活動ではなく、ひとりひとりの可能性を映し出す場であることを伝えたかったのです。
1-2 映像という手段で残したかったもの
撮影を進めるなかで特に意識したのは、「完成作品」だけでなく、そこに至る“プロセス”を記録することでした。例えば、色を選ぶ手、迷いながら描いた線、隣の人とアイコンタクトを交わす表情――そんな“瞬間の動き”こそ、アートを通じた福祉の価値を映像として伝える鍵になると考えました。今回のプログラムでは、定型的なワークショップではなく「予定調和を振り払う」というテーマが掲げられていました。 そのため、画角やカット割りも固定せず、参加者それぞれの“自由な動き”を追うように心がけました。映像を観る方が「この人は何を思ったんだろう?この場にはどんな空気が流れていたんだろう?」と感じられるような記録ができたらと思っています。
-
2. “脱ふつう、予定調和”を体現するアートワーク
2-1 利用者さんと職員が創る〈自由な作品〉
プログラムでは、福祉施設の利用者さんと職員が一緒になってキャンバスに向かいました。「枠にとらわれない自由なアート作品を創作します」。 色・形・素材を固定せず、むしろ“何が飛び出すか?”というワクワクを持って手を動かす場です。撮影の中で印象的だったのは、講師が少し手を貸したあと、利用者さんが思い切って筆を振る瞬間。映像ではその“空気の切り替わり”を捉えようとしました。「あ、今この人が自分から選んだな」という流れです。職員の導きと個々の創造性が同時に立ち上がる現場は、映像制作者にとって刺激的な瞬間でした。

2-2 日常を離れた“表現の場”としての価値
普段の福祉現場では、支援や生活のサポートが主役になりがちですが、ここでは「自由に感じる」「自ら選ぶ」という側面が強調されていました。たとえば、汚れてもよい服装で参加、動きやすく。そのことから、「きれいに仕上げる」という意識ではなく、「表現している」「動いている」という実感が場に生まれていました。映像を通して見ると、参加者の表情や体の動きが、生き生きとして映りました。私たちはその“日常から一歩出た感覚”を視聴者にも届けたいと思い、カメラ位置や音の拾い方にもこだわりました。
-
3. 現場を撮って感じた“共創”の化学反応
3-1 支援する側・される側を越えて生まれる関係性
撮影をしていると、最初は講師→利用者という構図があったものの、次第に参加者同士、あるいは支援員さんも交えて“学び・創る”という側面が前面に出てきました。まさに「共創」の言葉がふさわしい瞬間です。映像に残ったのは、一人が色を選び、それを見た隣の人が自分も挑戦する、という連鎖。その連鎖が場のエネルギーを作っていました。私たちはその“人と人が響き合う瞬間”を、静止画ではなく動画で捉える意味を実感しました。

3-2 カメラを向ける側にも変化を促す場
このプロジェクトでは、撮影スタッフである私たち自身も参加者と同じ場を“共有”していました。つまり「撮るだけ」ではなく「場をともに体験する」ことを選びました。そうすることで、参加者の気づきや動きに敏感になり、より自然な瞬間を撮ることができました。結果として、映像を見る方が「撮られている」ではなく、「そこにいた自分」を重ねられるような感覚を得ることができたと感じています。映像制作において、こうした“場との一体感”が質を左右することを改めて学びました。
-
4. 映像制作から見えた福祉×アートの可能性
4-1 足跡として残るプロセス映像の力
完成した作品や展示の場はもちろん魅力ですが、私たちは“その前”にあるプロセスを残すことの意味を強く感じました。色を試す、ためらう、隣の人に影響を受ける…。こうした動きが、参加者自身の内側の変化や成長を映像として語ってくれます。視聴者が「この人気づいたな」「この瞬間何かが変わったな」と感じるように編集を施しました。福祉×アートの取り組みを広く伝えるうえで、プロセス映像は“生きた証言”となると思います。

4-2 地域・企業にも波及する“表現”の拡がり
このプログラムが地域で展開されているということも大きな意味があります。作品を地域の場で展示したり、企業が協力したりと、福祉×アートのモデルがひとつの“文化”として根付きつつあると感じました。私たち映像制作者は、このような取り組みを記録・発信することで、企業や地域が「表現/参加/共創」という切り口で福祉に関わる機会を持つきっかけになると考えています。映像はその拡がりをスケールアップするツールになり得るのです。
-
5. これからの展望と東風の役割
5-1 “誰もが表現者”になれる社会へ向けて
このプロジェクトを通じて、私たちは「表現する/される」という二項対立ではなく、「ともに表現する」という関係性を目の当たりにしました。福祉×アートが目指す社会像として、“誰もが表現者になれる社会”の芽を感じています。そして東風としては、その芽が育つ場を映像で支え、記録し、発信し続けたいと思います。

5-2 映像で描く、福祉とアートの未来
未来を想像すると、福祉施設の中だけでなく、地域のカフェ・商店街・デジタル空間など、表現の場はもっと自由で身近なものになるでしょう。私たち東風は、そうした“場の拡張”を映像制作というかたちで伴走していきます。次回以降も、富士山ドリームプロジェクトの新たな展開や、映像を通じて出会う表現の可能性をお伝えしていきます。
